ケアギバーで永住権を目指そう!ケアギバーの仕事を徹底解説!

2020年2月19日

いきなりで出鼻をくじくようですが、最初に一言だけ言わせて下さい。「一番楽な永住権取得法ってなんですか?」とよく質問されるんですが、それは「世の中で一番美味しい食べ物は何ですか?」というのと同じ位、無茶な質問なのでナシにしましょう(笑)。

例えば、カナダにはスキルドワーカー移民という移民カテゴリーがあります。要は、カナダが欲しい人材にマッチしていれば、「永住権をお渡しするので、日本での経験を活かして働いて下さい」というもので、語学力やジョブオファーがある等の細かい要件はありますが、比較的、スムーズに移民できます。ある程度の語学力があり、日本での就業経験が活かせるような方には、一番、楽に永住権が取れる方法でしょう。

また、マニトバ州やユーコン州など、働き手の少ない州では、ロースキルドの仕事(レストランのサーバーやキッチンスタッフ、ホテルのルームメイキングなど)のような仕事で一定期間働き、諸条件を満たすと永住権が取れます。今回、ご説明するケアギバーもロースキルドワーカーに分類される仕事です。日本でスキルドワーカーのような就業経験がない方には、比較的ハードルが低めの移民方法と言えます。僕は家族連れで、2019年にこのケアギバープログラムを通じて永住権を取得しました。本記事では、ケアギバーとして働いた自身の実体験をもとにケアギバーという仕事がどのようなものか、ご紹介します。

そもそもケアギバーってどんな仕事?

「Caregiver(ケアギバー)」とは、呼んで字の如く「Care」を「Give」する人という意味なので、実は職業名としては、ちょっと曖昧な表現になります。お給料が発生せずに、親を介抱している場合もケアギバーと言ったりするので、僕は自分の仕事を説明する時は、Healthcare workerと言っていました。

余談はこれくらいにして、ケアギバーがどんな仕事かというと、日本の介護士やホームヘルパーをイメージしてもらえると一番近いと思います。ケアギバーの仕事を大きく分けると、チャイルドケアと高齢者(若しくは障害者)介護になります。大抵の場合は、永住権の申請条件を満たす2年間は働くことが期待され、家族の一員のように扱われることもしばしば。故に仕事とプライベートの区別が難しい仕事であったりもします。

クライアントのタイプ(チャイルドケアの場合)

チャイルドケアのクライアントは、主に下記の3種類のタイプに分けられます。

タイプ1

身体障害等をもっており、子供の世話を自分ですることが出来ないので、ケアギバーを雇うケース。
子供の遊び相手、おしめ替え、保育所への同伴などに加え、料理や簡単な掃除などの家事全般が業務になります。
このタイプのクライアントの場合、住み込みの仕事が多いでしょう。場合によっては、ケアギバーを2〜3人雇い、シフト交代制にするケースもあるでしょう。

タイプ2

シングルママ(シングルパパ)で、デイケア(託児所)に子供を入れずに、ケアギバーを雇うケース。
業務内容は、タイプ1のクライアントと同様です。このタイプのクライアントの場合、仕事に行っている間だけ、子供のお世話を依頼するケースが多いです。
また、住み込みではなく、通いの仕事も多いでしょう。

タイプ3

夫婦共働きで、デイケアに子供を入れず、ケアギバーを雇うケース。
業務内容は、タイプ1のクライアントと同様です。タイプ2のクライアントと同様、通いの仕事も多いでしょう。
また、このタイプのクライアントの場合は、ケアギバーに働いて欲しい時間が限定的なので、わざわざケアギバープログラムで外国人ケアギバーを雇わず、カナディアンを採用することが多いです。

クライアントのタイプ(高齢者・障害者介護の場合)

高齢者・障害者介護のクライアントは、主に下記の4種類のタイプに分けられます。

タイプ1

重度障害患者のクライアントで、シャワー介助、食事介助、投薬管理、コンパニオンシップ、買い物代行、簡単な掃除など業務内容は多岐に渡ります。
このタイプのクライアントの場合、住み込みのケアギバーを2〜3人雇い、シフト交代制にしているケースが多いです。

タイプ2

中程度の障害患者や認知症がある高齢者のクライアントで週末や週の半分は家族が介護し、残りをケアギバーに任せるというケース。
業務内容は、運転代行、料理、シャワー介助、投薬管理、コンパニオンシップなど様々です。
このタイプのクライアントの場合、住み込みの仕事が多いですが、中には通いの仕事もあるでしょう。

タイプ3

老夫婦でどちらかが介護が必要なので、ケアギバーを雇うケース。
業務内容は、患者の年齢や障害のレベルにより、大幅に異なります。ある程度、自分で身の回りのことができる患者の場合は、料理などが主業務になりますし、障害が比較的重い患者の場合は、シャワー介助や歩行介助等の介護業務が主になってきます。
このタイプのクライアントの場合は、住み込みの仕事が大半です。

タイプ4

独身やパートナーを失った高齢者で、老人ホームに入居するという選択肢を取らず、ケアギバーを雇って、自宅で生活をするというケース。
このクライアントの場合、業務内容は、料理、掃除、コンパニオンシップなどになります。
このタイプのクライアントの場合、他のタイプのクライアントより通いの仕事の割合が多いでしょう。

ケアギバーのお給料は?

ケアギバーのお給料は、勤務地がどの州のどのエリアかによって大きく変動してきます。一般的に高齢者・障害者介護の仕事の方がチャイルドケアの仕事より時給が高いことが多いです。カナダ政府の2019年11月27日段階での統計データによるとカナダ全域での賃金は以下のようになっています。

Low($/hour)Medium($/hour)High($/hour)
高齢者・障害者介護(NOC 4412)*12.5016.5024.40
チャイルドケア
(NOC 4411)*
11.3214.1120.00

* NOCとはNational Occupational Classificationの略で、カナダ移民局が就業経験の査定をするために使用する数字4桁の管理番号です。ケアギアバープログラムで永住権を目指す際には、自分の仕事のNOCが4412か4411である必要があります。

クライアントがケアギバープログラムを通して、外国人ケアギバーを雇う際には、該当エリアで働いているケアギバーの平均賃金以上を支払うという確約をする必要があります。上記の表で説明すると、2019年11月27日段階では、高齢者・障害者介護のケアギバーを雇うには、時給換算で16.50ドル以上、チャイルドケアのケアギバーを雇うには、14.11ドル以上を賃金として支払う必要があるということになります。ただし、冒頭で触れた通り、この金額はあくまでカナダ全域の平均データが元になっているので、自分が働く該当地域のデータを参照するようにして下さい。データの確認は、Job bankのTrend analysis(https://www.jobbank.gc.ca/trend-analysis/search-wages)から行うことができます。

ケアギバーの仕事探しの方法について

ケアギバーの仕事探しには、主に下記のような方法があります。

  • 卒業したヘルスケアの専門学校に仕事を斡旋してもらう。
  • インターネットの求人掲示板でクライアントを自力で探す。
  • 知人や友人にクライアントを紹介してもらう。

上記の3つ方法で一番、確実な方法は、卒業した専門学校に仕事を斡旋してもらう方法です。なぜなら、学校はケアギバーを雇いたいと考えている雇用主から連絡が入ることが多く、斡旋する仕事(クライアント)のリストを持っているからです。クライアントの大半は、外国人ケアギバーを雇うために必要な要件やコスト等の知識が無いのですが、学校の担当者が事前に必要な情報を雇用主に説明するので、トラブルなくスムーズに雇用契約に至るケースが多いです。

ただし、学校が斡旋する仕事には、遠隔地の仕事の割合が多いです。なぜかというと、都心部で生活しながら働きたいと考えるケアギバーが多く、わざわざヘルスケアの専門学校にケアギバーを紹介してもらわなくても簡単に人材を見つけることができるからです。逆に、離島や遠隔地のクライアントの場合、ケアギバーの確保が難しいため、ヘルスケアの専門学校に人材の紹介を依頼することが多いのです。ですので、どうしてもバンクーバーやトロントなどの大都市周辺で仕事をしながら永住権を目指したいという方は、求人サイトなどを駆使して自力でクライアントを探すことも必要になってくるでしょう。その場合は、自分なりに最新のケアギバープログラムに関する情報を仕入れ、雇用契約を結ぶ際にトラブルにならないように面接の準備を進めましょう。インターネット上でのケアギバーの求人検索には下記のような求人サイトが便利です。

クライアント(特に住み込みの仕事のクライアント)の多くは、カナディアンよりも外国人ケアギバーを雇いたいと考えています。なぜなら、2年越しの永住権を目標にしているケアギバーの方が、カナディアンより長期的に働いてくれる可能性が高いと知っているからです。ただし、ここで求人案件に申し込みをする際に一点だけ、気をつけた方が良いポイントがあります。それは、偽の求人案件です。これは、どういうことかというと、既に雇いたいケアギバーを見つけているクライアントが挙げている求人案件です。「はぁ?なんで、人が見つかっているのに求人広告あげるの?」と思うかもしれませんが、これには理由があるのです。クライアントが、外国人ケアギバーを雇う際に、Service Canadaという役所に「カナディアンをこれだけ面接したけど、良い人材が見つかりませんでした」や「一定期間(だいたい一ヶ月間)、求人広告を掲載したけど、カナディアンで良い人材が見つかりませんでした」といった証明をしなくてはならないのです。カナダ政府も自国民の雇用が最優先ですので当然といえば当然なのですが。。。ですので、専門学校経由などで、既に人材を見つけている場合でも、形式的に求人広告をあげるのです。

仕事探しの際に、電話で面接のアポイントを取ろうとしたが、雇用に前向きな雰囲気が伝わってこなかったり、履歴書を送ったが、返事が全くないといった場合は、偽の求人案件を疑った方が良いでしょう。こちらも時間の無駄になるので、しっかりと見極めをしていきましょう。

ケアギバーの仕事で大変だったこと

僕の仕事は、パーキンソン病(脳の異常により身体の動き障害が起きる病気)を抱える男性の介護でした。病気の進行がかなり進んでいる患者でして、基本的に寝たきりでコミュニケーションはジェスチャー(まばたき1回はYesで2回はNoなど)とiPadのタイピングソフトを使う必要がありました。勤務形態は、週の半分を住み込みして、もう一人のケアギバーと交代制で午前8時半から午後10時まで(途中2時間お昼休憩有り)働くというものでした。業務内容は、冒頭で説明した高齢者・障害者介護のクライアントタイプ1にあたります。僕の場合は、ヘルスケアの専門学校の教育実習などで実際に、ベッドバス(清拭)やトイレ介助等の経験がありましたので、大きな抵抗がなく業務に取り組むことができました。日本で介護施設での勤務経験のある方は、そのような点は問題ないでしょうし、ケアをする患者の数が一人なので、むしろ楽に感じるでしょう。ただし、ケアギバーの仕事は、体力的に大変というより、精神的に大変なことがことが多いでしょう。以下は、僕が実際に経験した大変だったポイントです。

  • クライアント(患者の家族)に足元を見られる
  • うつ状態の患者から嫌がらせを受ける
  • プライベートと仕事の境界が曖昧になりストレスを感じる
  • 永住権申請ができるまでの2年間が異常に長く感じる
  • 都会生活が恋しくなる etc…

ケアギバーの仕事が精神的にどれくらい大変かは、クライアントの人柄によって大きく左右されます。中には、本当に素敵なクライアントもいます。同じヘルスケアの専門学校を卒業した同級生は、クライアントにはよくしてもらった記憶しかないという人もいます。しかしながら、ケアギバーが永住権取得の為に仕事を簡単に辞めるわけにはいかないことを利用してくるクライアントは残念ながら一定数います。

また、患者が一人ということは、その患者との関係が濃密になり、別の問題が発生してきます。例えば、医者に水の摂取量を守るようにと指示が出ているにも関わらず、ケアギバーの注意を引きたかったり、わざと困らせるために水分の摂取を拒んだりするということはよくあります。法律上、ケアギバーが患者に対して物事を強要することはできないですし、かといって患者のやりたいようにさせて健康を損なったとなると責任問題になるというジレンマ状態になってしまいます。ケアギバーとして説明責任を果たして、それでも患者が水を飲まないのであれば、どうしようもないという結論にはなるのですが、実際の業務ではそう簡単な話しではないのです。何より、それで患者が体調を崩し、入院することになったり、亡くなってしまったりすると自分の仕事を失うことになってしまうので、死活問題です。これが、複数の患者がいる介護施設での仕事であれば、ケアに関しての明確なルールがあり、必要に応じてナースや医者の指示に従って行動できるので、安心して働くことができます。そのような介護施設での仕事の場合、しっかりと業務上の責務を全うしていれば仕事を失うこともないでしょう。一般家庭で働くケアギバーは、このように特殊な勤務形態故に悩みも特殊なのです。

他にも、住み込みの仕事の場合だと勤務時間終了後にも仕事を少し頼まれて、なかなか気が休まらずストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。田舎の勤務地で、単調な生活に飽きてしまうこともあるでしょう。僕の場合は2年間の辛抱だからと自分に言い聞かせることでやり過ごしましたが、2年目の年は毎日のようにカレンダーを見つめて、カウントダウンをしていました。

ケアギバーの仕事で良かったこと

正直なところ、大変だったこと9割で良かったこと1割といった感じではありますが、良かったことも確かにあります。具体的には、僕は以下のような点が良かったと思っています。

  • カナダでHealthcare workerとしての職歴をしっかりと築けたこと
  • 収入を得ながら、永住権取得を地道に目指すことができたこと
  • Healthcareに関する知識が身につくので、自分がお医者さんにかかる時に何かと助かる

Healthcare workerは、基本的にどの土地でも需要のある仕事です。ですので、Healthcare workerとしての職歴があれば、基本的に食いっぱぐれることはないと言っても過言ではありません。仕事のポジションにもよりますが、問われる英語力がそれ程高くないということが多く、海外から移民した人などには人気の高い仕事でもあります。Healthcare workerとしての経験を積んでいく中で、ナースを目指すという人も多いです。僕も日本生まれ日本育ちの日本人なので、高度な英会話になってくると未だに自信がありません。そういう意味では、カナダで生きていく上でのスタートラインとしてケアギバーの仕事は良かったと思っています。

ケアギバープログラムは、数多くある移民プログラムの中でも比較的、永住権申請の要件がシンプルかつ明確で永住権取得の確実性が高いプログラムです。現状で特別な専門スキルがなく、資金も限られている場合には、もってこいの永住権取得方法です。永住権申請をするとなると、カナダ政府に支払う申請料、申請に必要な書類(健康診断や学歴査定等)に加え、移民コンサルタントを雇う場合は、その費用など数千ドル単位で出費がかさみます。ケアギバープログラムなら2年前からコツコツと資金の準備を進めていくことができます。実際、僕もそのように準備を進めてました。

僕が通っていたHealthcareの専門学校のコースにはMedical Terminology(医療単語)というものがあり、数百種類の医療英単語を学ぶ機会がありました。日本語でも知らないような単語まで覚えました。お陰様で、自分がお医者さんにかかる時は、内容をほぼ100%理解することができます。これは、カナダで生活していく上で思いの外、助かります。

最後に

ケアギバープログラムでの移民は、決して楽ではありませんが、忍耐力や継続力に自信がある方なら、やり遂げられるでしょう。ケアギバープログラムは5年毎に改訂があり、最近ですと2019年6月18日に改訂がありました。改訂の度に、ケアギバープログラムは無くなるんじゃないかと騒がれますが、ずっと残り続けています。個人的な所感ではありますが、ケアギバープログラム無しではカナダの医療は成り立たないと思いますので、これからもずっと移民プログラムの一つとして残っていくでしょう。ケアギバープログラムに挑戦する際は、古い情報と新しい情報を混同しないように気を付けて下さい。